マスクをしていたし、まったくわかんない。
他のクラスの男子なんて、そもそも知らない。
「じゃあ、見るしかないよね」
「へっ!?見るって?」
「マ・イ・デ・ー・タ」
なぜかうれしそうな杏ちゃん。
「……でも……人のスマホを勝手に見るのってまずくない……?」
電話帳を見るのだってドキドキしたのに。
さっきのは仕方ないとして、人のスマホをあれこれいじるのは気が進まないよ。
「花恋ってばお人よしなんだから。この場に及んでそんなこと言っていられる?いい?花恋のスマホだって、どこの誰かわかんない男子の手に渡ってんだよ」