だって、その相手が笹本くんだったから。
「一体、いつまで同じこと続ける気!?」
まくしたてる朋美ちゃんに対して、笹本くんは一言も喋らない。
いや、喋らない、というより、喋れないのかもしれない。
目をパチパチさせて、それは相当驚いている様子。
あたしも状況が飲み込めず、固唾をのんでそれを見守った。
「あのね、みんな。この人に騙されてるから」
少し落ち着いた様子で周りに向けてそう言った朋美ちゃんは、次にとんでもないことを言った。
「あたし、中学の時にこの人と付き合ってたの」
ええっ……!?
朋美ちゃんが笹本くんと……?
「な、なに言ってるのかな。キミと付き合った覚えなんてないけど」
はじめて笹本くんが言葉を放った。
かなり引き攣りながら。
「はあっ!?ほんっと最低なんだけど。そんで二股かけてあたしを捨てたくせに!」
「えっと、何のことだかさっぱり……」
「てかさ、二股どころか、三股四股もしてたみたいじゃん」