笹本くんの本性を朋美ちゃんが?
なにがなんだかわからないあたしに、朋美ちゃんがチラチラと困ったような視線を注ぐ。
「っ。だとしても嫌。あんな鈍感な翔のために、なんであたしが力貸してあげなきゃなんないのよ」
「まあまあ。翔の女ゴコロの読めなさは俺も認めるけどさ」
「……っ」
それは、朋美ちゃんが本気で青山くんを好きだったことを指していて。
言葉につまった朋美ちゃんは、それを素直に認めてしまったということ。
侑汰くんはさすが、女心が読めてるんだなぁ。
「あのバカ!ほんっとにムカつくんだから!」
「ああ、アイツはバカだよ。でも」
侑汰くんが朋美ちゃんを真っ直ぐ見る。
「そのバカが……朋ちんの幼馴染みが、困ってんだよ」
それは、心底青山くんを思いやるような目で。
そんな侑汰くんの表情に心を打たれたのか、諦めたように俯く朋美ちゃん。
ふたりが、何を言わんとしているのか、あたしにはわからないけど……。