「でも……」
「俺は、翔が悪いことしたとはこれっぽちも思ってない。あんなことするヤツ、殴られて当然なんだよっ」
「でも、みんなはそうだと思ってないし、間違ったウワサが広がってる……」
あの落書きを書いたのは、青山くん……だなんてウワサ。
誰かが口にした根拠のないウワサは、とんでもないスピードで拡散していた。
本人が謹慎中で、否定できないのをいいことに。
「でも、俺ならまだしも、翔は見た目ほどケンカっ早いわけでもねえからびっくりした」
「…………」
そんな青山くんを、そこまで駆り立てたものは、なに……?
「もしかして翔のヤツ……」
そう言ってあたしをジッと見つめる侑汰くん。
続けて言った言葉に、あたしは驚愕した。
「花恋ちゃんのこと……好きなんじゃねえのかな」
「っ……ま、まさかっ……!」
心臓がバクバクと音を立てて鳴り始める。