普段の行いを見ていて、どっちがその可能性があるか……となった時に、まずは笹本くんを疑う余地がないからだろう。
青山くんは、パッと見無愛想で近寄りがたい雰囲気があるから。
……なんでこんなことになっちゃうの?
青山くんは、ただ、あたしを庇ってくれただけなのに。
何も出来ない自分。
ただ、悔しさだけが胸を渦巻いた。
昨日はあの後。
『今のは青山が悪いだろ』
『突然殴るはねえよな』
あの落書きを、誰も笹本くんのせいだなんて思わなくて。
青山くんだけが悪者になっていた。
無抵抗の笹本くんを2度も殴ったことは、みんなの心象をよくするはずもなく。
落書き犯どうの……というよりも、青山くんの非だけを口にしていた。
『藤井さんはどう思う?ほんとに笹本くんがあれを書いたと思う?』
そんな問いかけにも。
まだ確証を得られないから、笹本くんが書いたと思う、なんて言えなくて。
ただ、黙っているだけだった。
青山くんを庇うことすら出来なかった。
……ほんと、あたしって弱い人間だ。