本格的に上がる悲鳴。
あたしも目の前の光景が信じられない。
人を殴る、なんて行為を見るのが初めてだったから。
「……ってえ」
机と椅子も激しく崩れ、その中に身をうずめた笹本くんを、もう一度青山くんが追いかける。
そして。
「もう一発殴らせろ」
低い声で言うや否や、もう一度笹本くんの顔目掛けて拳が飛んだ。
力強く、真っ直ぐに。
きゃっ。
再び目をつぶる。
「……うぐっ……」
鈍い声が聞こえた。
息を止めながらおそるおそる目を開けると、苦しそうに口を開きながら床に頭をついて倒れる笹本くんが目に入った。
……っ……!!!
「笹本大丈夫かっ!?」
「青山やめろ!!!」
笹本くんに駆け寄る男子と、青山くんを後ろから羽交い絞めにする男子。
「てめえいい加減にしろよっ……!」
興奮気味に言葉を吐く青山くんは、後ろから止めに入る男子がいなければ、まだ数発殴りに行ってしまいそうなほどの、パワーを持っていた。