「花恋、ほんとに大丈夫?」


「大丈夫だよ」


「サボったって平気なんだからね?」


「ありがとう。でも、大丈夫だから」



今日は月一の定例委員会の日。


委員会に行けば、笹本くんも青山くんもいる。


……行きたくない。


けど、あたしにはサボる勇気なんかなくて。


心配する杏ちゃんに手を振って、教室を出た。



「はぁ……」



自然ともれるタメ息。


早く行ってもお喋りする相手もいないし、また何をヒソヒソ言われるのかと思うと、足も鈍る。


いつもの委員会は図書室だけど、改修工事が始まっているため、今日の集まりは旧校舎の図書室。


フロアを真っ直ぐ突き進み、本来の図書室を超えたところであの自販機が目に入った。


あのとき故障中だった自販機は、まだ【故障中】の貼り紙がされたまま。


故障の原因が分かっている人も、青山くんみたいな行為に出る人は誰もいなくて、この自販機に近寄る人なんていない。