言い寄ってくる女たちはこれまでいたが、大して興味もなく、朋美の彼氏のふりをしていたくらいだ。
その俺が、女にドキッとさせられるなんて。
図書委員で藤井が仕事を押し付けられていた時も。
ノーと言えずに引き受けた姿に呆れながらも、笹本と一緒にさせてたまるか……そんな想いがあって。
気付けば、俺が笹本の代わりにやると、あとから申し出ていた。
それって、今までの俺なら考えられねえ。
好きでもねえ女にそんなこと……。
「……っ」
言葉を失くした俺に、ますます朋美の顔は曇っていく。
「……知らないよ。あたしには関係ないもんっ!」
「あっ、朋美っ!」
俺の勢いが弱くなった隙に、朋美は走って行ってしまった。