「で、でもっ……全部ウソでもないじゃん!彼女がいる男をたぶらかしたーー」
「違うって前にも言っただろ?藤井は俺の彼女じゃねえよ……俺が……藤井を利用しただけだ……」
自分で言ってて、情けなくなってきた。
やってること、笹本と変わんねえなって。
「なにそれっ……」
勢いのあった朋美の目は、次第にゆらぐ。
「じゃあ、好きでもない女にキスしたの?」
「……」
なにも言えなくなる俺。
「もしかして、翔……」
「わっかんねえよ……自分でも」
クシャと髪をかきあげる。
藤井の顔を見て、声を聞いて。
妹へのプレゼントを選んでいるときの無防備な藤井の顔とか、マジでドキッとしたんだ。