元々フリなんだし、さんざん笹本の前で見せつけてやったんだからもういいだろうに。
「黒板に書かれてた中傷、知ってるだろ」
もちろん朋美のクラスにも書かれていて、俺が消したんだから朋美も見たはずだ。
「それがなに?あたしには関係ないでしょ、そんな女のことなんて」
涙をためた目で、俺をキッと睨む朋美。
藤井は今でも朋美の目の敵らしい。
彼女じゃないと伝えたが、朋美はそれを信用していないっぽい。
まあ、キスまでしたんだからな。
「そう言わずに話聞けって」
「痛いよ離して」
そう言われて、俺は手を離した。
その手をグッと握り締めて言う。
「あれを書いたの、笹本なんだ」
「えっ……?」
朋美は眉を寄せる。
「もちろん、根も葉もないデタラメだけどな」