藤井に責められ、理由が言えない俺は、悲しそうな藤井の顔をまともに見れなかった。


一緒に帰るのを阻止したくせに、スマホの入れ違いで起きたすれ違いだと判明した藤井と笹本は、ある意味もっと急接近したのかもしれない。


俺、という悪者が居るから尚更に。


その証拠に、すぐに笹本が藤井にコクったことがウワサで流れた。


結局、笹本のシナリオ通りになり、俺は悪者のまま。


図書室へ藤井を強引に連れて行ったのだって、ただの足掻きだったんだ。


俺がメッセージを消したところで、誤解だと判ればふたりはまた急接近する。


そんなことは分かっていたのに。


ガキだよな、俺。


気持ちを抑えられなくて、藤井にキスなんてしたりして……。