くるくると巻いた髪をわざと大きく振るその姿は、俺が振ったことをまだ根に持っているんだろうが。
もともと、朋美から頼まれた彼氏役だし、俺が悪いとも思えない。
「おい、待てよ」
腕を掴めば、強制的に朋美も足を止めざるを得ないが、
「なによ、もうあたしと話すことなんて何もないでしょ」
キッ、と鋭い視線を俺に投げてきた。
「は?何もねえって、俺達が幼なじみなのはこれから先も変わんねえだろ」
別れ話が成立したとはいえ、普通の別れたカップルとはちがう。
元々恋愛感情のなかった俺達にとって、幼馴染みなのは今も昔も変わらねえだろ。
「鈍感!」
「は?」
鈍感……て、意味分かんねえし。