これは一体誰?
言われている意味を考えるよりも先に、豹変してしまった彼の態度について行けない。
あたしが振ったことがそんなに気に食わなかった……?
「さいあくっ」
最後にそう捨て台詞を吐くと、キッと冷たい目を見せて、笹本くんは中庭を去ってしまった。
……え。
あたしは、しばし呆然と立ち尽くす。
告白されたときとは違う意味で、そこから動けない。
「は、はぁっ……」
しばらくして、やっと普通に呼吸が出来た。
中庭の温かくて穏やかな空気が、やっと胸の中に入ってくる。
体は相当緊張していたみたい。
冷たい汗が流れて、まるで今まで呼吸が止まっていたみたいに胸が苦しい。