「でも、つき合えないってことは、そういうことでしょ?」
「…………」
何も言えなくなってしまう。
好きだったら、つき合う。
高校生男女の恋愛間に置いては、きっとそうだろう。
あたしがノーって言うことは、笹本くんを好きじゃないと言ってることと、同じ……。
しばらくの沈黙ののち……
「ばかにすんなよ」
耳を疑うような声が聞こえた。
……え?
と顔をあげたあたしの目に映ったのは、さっきまでの爽やかな笑顔の欠片なんて1ミリもない笹本くんの姿。
片足に体重をかけ、ポケットに手を突っ込んだその姿は、王子様とはまるでかけ離れている。
ダルそうに、面倒くさそうに。
どうし、たの……?
これ……ほんと笹本くん?
まるで別人になってしまったかのような姿に、あたしは目を見開き、声も出ない。