んんっ、と咳払いした笹本くんは。
「俺、花恋ちゃんが好き。俺と、付き合ってください」
もう一度、告白してくれた。
ズキン……。
胸が痛いよ。
こんなあたしを好きだと言ってくれたのに、あたしは……。
でも、自分の気持ちを伝えなきゃ。
そうすることも、笹本くんのため……。
笹本くんの目を真っ直ぐ見て伝える。
「笹本くん……。笹本くんがそう言ってくれてすごく嬉しかった。ありがとう」
「……うん」
「でも。あたしなんて笹本くんに相応しくないと思う……笹本くんにはもっと素敵な女の子がいるはずだから……」
精いっぱい返したつもりだった。
だって、それは嘘いつわりのない思いだったから。
校内でも人気者の笹本くん。
あたしなんかじゃなくても、もっと笹本くんを好きでふさわしい子がいるはず。
あたしなんかを好きになってくれてありがとう、その気持ちを込めて。
笹本くんを振るなんて、バチ当たりみたいなこと、心が苦しくてたまらないけど。