「ひっ……っく……」
あとからあとからどんどん溢れ出した。
止めたいのに止まらない涙は、青山くんの教科書にシミを作っていく。
「……悪かった……ほんとにそう思ってるよ……」
ため息まじりの謝罪が、頭の上に落ちた。
ゆっくりと、感情を込めるように優しく。
……メッセージを消したこと……?
青山くんがあたしを連れてきたほんとの理由は数学を教えるんじゃなくてこれだったのだとわかるそれに、あたしの心もようやく落ち着いた。
そしてようやく肝心なことを口に出来た。
「……どうして……あんなこと……したの……?」
あの日以来、はじめての追及。
なにか、理由があるんだよね……。
顔をあげたあたしに。
「……泣くなよ……」
答えの代わりに、青山くんは親指であたしの左右から零れた涙をぬぐった。