…………どうしてあたしは今、すごく押しつぶされそうに胸が痛いんだろう……。
…………どうしてこんなときに思い浮かぶのは、青山くんの顔なんだろう……。
「花恋……ちゃん……?」
不安げな目をしていたのか、眉根を下げた笹本くんがあたしを覗き込んでいた。
「あっ……」
あたし、何を考えていたんだろう……。
そして。
キーンコーンカーンコーン。
なにか言おうと思ったタイミングで、昼休み終了のチャイムが鳴ってしまう。
……あ、どうしよう。
「ごめんね、テスト前にこんなこと言って。返事は急いでないし、テストが終わったら聞かせて」
そう言って爽やかな笑顔を残すと、笹本くんは先に校舎の中へ戻って行った。