だけど、あたしは心から笑えなかった。


あれだけ夢にまで見ていた、笹本くんとふたりきりだっていうのに。



「それにしても青山のやつ、ひでーことするよな。勝手に人のメッセージ消すなんて」


「……う、うん」



ほんっと、ひどいよね!


これが、メッセージをくれた次の日とかだったら、そう言ってあたしも息巻きながら賛同していたのかもしれない。


なのに。


体に力が入らず、そんな事実を口にされるだけで胸がキリキリと痛む。


……週が明けてもショックは相変わらずで、もっと増したかもしれない。



「俺さ、花恋ちゃんからあのメッセージもらってすごく嬉しかったんだ。なんか一生懸命誘ってくれてるのが分かったし、実は、俺も花恋ちゃんのこと、誘いたかったから」


「……え?」



見上げた笹本くんは照れたように頭をかく。


はにかむ口元から、白い歯を遠慮がちにのぞかせて。