最近聞かなくなっていた声色だった。


冷たく、ぶっきら棒な。



「……ふっ、カッコつけかよ」



……え?


ボソッと言った笹本くんのそれを、あたしは聞き逃さなかった。


そして耳を疑う。


そこは……ありがとう、じゃないの?


青山くんも、一瞬眉をしかめる。



「てか、もともと俺の仕事だろ。あとは俺がやるから青山はもう帰れよ」



笹本くんは腕まくりをして、床に積み上げられた本を棚に入れていくけど……。



「あの、それはそこの棚じゃなくて……」


「こっちだ」



言いかけたあたしに被さるように、青山くんが間違えた本を奪い取り、正しい棚に入れていく。


今参加したばかりじゃ、わからないよね……。