「花恋ちゃん!」
男の子の声が聞こえて、あたしは心臓が止まるかと思った。
だって、あたしを名前呼びするこの声は……。
「さ、笹本……くん……?」
どうして……ここに……。
走って来たのか、少し息を切らした笹本くんがそこに立っていた。
突然現れた笹本くんの姿に、あたしは目を丸くする。
会話するのは、例のメッセージを送って以来。
どうしたらいいか分からなくて、困惑は半端ない……。
あたしに向けられていたその視線は、次に青山くんへ。
「青山、さっき知ったんだけど、これ俺の仕事だったんだろ?俺が休みの日に係りが決まったって聞いたぞ。なんで青山がやってんだよ」
「あ?……ああ、お前が休みの日に押し付けるような形で決まったから、やっぱそれじゃ卑怯だと思っただけだ」