「友梨ちゃああああん！」



３人で教室移動のために廊下を歩いていると、どこからともなくテンションの高い声が聞こえた。


……ドキッ。


あたしの胸が跳ねたのは、この声が侑汰くんのものだと分かったから。


べつに、侑汰くんにドキッとしたんじゃなくて、もれなく青山くんが一緒にいるのを知ってるから……。


振り向くと案の定、侑汰くんが手を思いっきり振っている隣には、青山くんの姿。



「大きな声で呼ばないでっていつも言ってるでしょ。恥ずかしいの」


「ごめんごめんー、でも友梨ちゃん見つけると嬉しくなっちゃうんだよ～」



友梨ちゃんにまとわりつく侑汰くんは、そんな塩対応にも全くめげる気配はない。


真っ直ぐすぎるアプローチ。


友梨ちゃんは迷惑がっているけど、あたしにはうらやましい。


こんな風に誰かに想ってもらえるなんて……。