『なにも知らないくせに』


そう言った青山くんの言葉は、決してイジワルでもなんでもなかったんだ。



「……あのときは……ごめんなさい。事情も知らず生意気言って」



ギュッと目を瞑って、頭を下げる。


ああもう。
穴があったら入りたいよ……。



「別にいい。あの時は確かにカチンと来たけど、まともに考えたらそうだな」


「……」


「そんないい加減なヤツ、俺だって御免だ」



ゆっくり頭をあげると、真剣な目をした青山くんがいた。


まっすぐな瞳に、ドキッとした。


価値観が合わない、ちょっとズレてる。

そう思ったけど。


やっぱり青山くんは常識的に物事を考えられる人なんだ。


まちがいなく、屋上で一緒に笑い合った、あの青山くんだ……。