突然現れた青山くん。


そんなセリフを口先で吐くと、近くの席に座った。


そしてパンの包みをビリッと破き、大きな口で乱暴にかじる。


……機嫌悪そう……。



あたしからは一番遠い位置にいるけど、同じ空間にいるっていうだけで、なんだか心臓がバクバクしてきた。


だって、先週、キス……。

そんな相手と、その時ぶりに対面して、落ち着いていられるわけない。



「……っ」



思い出したらみるみる内に顔が熱くなって、きっと赤くなっている顔を隠すようにお弁当箱と対面しておかずを口へ運ぶ。



「翔が来るなんて珍しいな~」


「……俺が来たらいけねーのかよ」


「いや、だって先週はいくら誘っても来なかったじゃん」



……そうなんだ?



「あ~、もしかして今日は花恋ちゃんがいるから~?」


「……おい」

「……っ」



地響きのような青山くんの声と、あたしが息をのんだのは同時だった。