『あ、ごめん。近いよね』
戸惑いを察したのか、彼はパッと手を離してくれたけど。
あたしは言葉も発せずに、首をふるふると横に振るだけ。
『次からは気を付けてね』
なにも言えないままでいると、爽やかな笑顔を浮かべた彼は、軽く手を振りその場を去っていった。
うわぁ……なんてかっこいいの!!!!
まるで、王子様みたい。
全身に雷が落ちたように体中がしびれて。
動けなくなるなんて経験はじめてだった。
そのあと、すぐに彼の名前とクラスを突き止めて。
廊下ですれ違ったり、見かけるたびに視線を止めてしまう日々。