バスを降りた覚えがないんだけど……。
あまりの高熱に、記憶が飛んじゃった……?
すると、お母さんがニヤニヤした。
……ん?
「びっくりしちゃったわよ。チャイムが鳴って玄関のドアを開けたら、花恋が男の子にお姫様抱っこされてるんだもの」
「えっ……!!!」
お姫様抱っこ?
思わず絶句。
……それって、青山くん……?
確認するまでもなく、青山くんしかいないよね……。
「同じ学校の子らしいんだけど、バスでたまたま一緒に乗ってたら、花恋が倒れたって」
あ……青山くん、わざとそう言ってくれたんだ。
一緒に帰ってきたなんて言ったら、お母さんに勘違いされると思ったからかな。
そう言ってくれて助かった。
彼の機転に少しだけ感謝。