「おいっ……!」
ちょ……マジかよ。
さっきまで俺から遠ざかるようにしていた藤井が、いきなりもたれ掛ってきたと思ったら。
まさか、死んでないよな……?
俺の胸元にガクッと頭を垂らした姿に、俺は一気に焦った。
送る、とは言ったけど、まさかここでブッ倒れるとは……。
◇
6時間目が終わったあと、ひとりの女が俺のクラスにやって来た。
「おー!杏奈ちゃん!どうしたの~?」
にへ~っと頬をだらしなく緩めた侑汰とは、中学時代からの付き合い。
また、適当な女と遊んでるのかよ。
見た目チャラい侑汰は、女友達は星の数ほどいる。
でも、特定の彼女は今はいない。