声のした方に首を振ると、朋美ちゃんは思いっきりあたしを睨みつけていて。


声を出したくても、出せない。

起きた衝撃に、言葉を発するのを忘れる。


あたしと青山くんと朋美ちゃん。

妙なトライアングルのなか生まれる沈黙。


っ……。



「さいっ……てー……」



そのあと、朋美ちゃんは地に落とすような言葉を吐くと、わざと足を踏み鳴らしながら昇降口を出て行った。




否定する気力なんて残ってなくて。


あたしは一気に力が抜けて、その場にヘナヘナトと崩れ落ちた。


あたし、青山くんにキス、されちゃったの……?



「……悪ぃ……」



しゃがんだあたしを追いかけるように、青山くんもしゃがみ、あたしと目線を合わせる。


そんな……謝られたって……。