ほんとうに、一緒に帰るんだ。
笹本くんと叶わなかった下校を、青山くんと共にするなんて……。
第一、昨日のこと、怒ってないの?
『……んなのオマエにカンケーねえだろ』
調子に乗って、気に障るようなこと言ったのに。
あまりに普通に接されても、調子が狂うよ……。
保健室から昇降口までは目と鼻の先。
1組と8組の昇降口は少し離れているから、それぞれの靴箱へ別れようとしたとき。
その声は、聞こえてきた。
「あーー!翔――――!」
ぎくっ。
忘れもしない、朋美ちゃんの声だ。
瞬間、青山くんが足を止めて、その背中は確実に"ゲッ"っと言っている。