でも、これで良かったんだ。


ふたりきりになって、会話なんて続く気がしないもん。


ふたりで帰るなんて、無謀だったんだ。



「具合、そんなに悪ぃの?」



ふっと、目線と気持ちが落ちたあたしに、青山くんの声。



「あっ……ううん……」



慌てて顔をあげた。


決して、よくはないけど。


今のは、ちがうから。


青山くんに心配してもらうようなことじゃない。



「……あの……」


「……ん?」


「風邪……大丈夫……?」



何とか話を切り出すあたし。


会話が見つからないから、ここは無難に、青山くんの風邪の具合を聞くのがいいかと……。