「イタッ……」



夢だと思って、油断して思いっきりつねっちゃったけど。


痛いってことは、夢じゃないよね……?



「夢でも見てると思ってる?」


「え……」



やだ。
ほっぺたをつねってたとこ、見られた!



「フッ……」



青山くんが、小さく笑った。



「……っ」



無意識に出てしまったと思わせる自然な笑みは、結構強力なパンチがあった。


無愛想で、苦手だと思った人にこうやって自然に笑われると、心が追い付かない。


これが、杏ちゃんの言ってたギャップ萌……ってやつ……?


って、ばかばか。あたし、なに考えてるんだろうっ……。


全身が燃えるように熱くなって、布団を剥いで体を起こす。



「アンタって、やっぱおもしれーわ」