午後の授業はスムーズに終わり、ホームルームの時間。


担任は神妙な表情で私に後で職員室へ来いとのこと。


はぁ…1限サボったのが悪かったのだろうか?と頭をフル回転させるが、一緒にサボった内宮が呼ばれないのは変だ。


多分、サボったことじゃなくてきっと生徒会の用件なんだろう。


思い足取りで職員室へと向かう。

中央校舎と北校舎を結ぶ中央廊下には、生徒がまばらでだいぶ賑やかだ。


その廊下の向かいから、今はあまり会いたくない岡崎先生の姿があった。


周囲には見知らぬ女子生徒の姿もある。


岡崎先生は、校内でもイケメンの部類に入るし…


人気なのはわかってる。

分かって告白して、勝手にフラれたのは私だ。


岡崎先生は何も悪くない。


「あ、安元!」


岡崎先生に気付かれないように影を隠していたつもりだったけど、名前を呼ばれてしまいすぐにばれた。


周囲の女の子はすごいきつい表情で見つめてくる。


まるで、邪魔しないでくれ。と言わんばかりだ。


岡崎先生とその女の子たちを無視するように私は立ち去ろうと背を向けた。



「生徒会のことで話があるんだけど、いいかな?」


しかし、岡崎先生が私の腕を引っ張り引き留めてしまった。


私は驚いて声もでない。


パチパチと瞬きをして、今の状況を察した。


「す、すいません…私、担任に呼ばれているので…」


岡崎先生の顔を直視することができず、視線を下げて答えると、捕まれた腕に力が伝わった。


それに驚いて、視線を上げるとわずかに眉間にシワが寄っていた…。


初めてみた表情に困惑する私に岡崎先生は短くため息をついた。


「分かった。それまで待つから一緒に職員室にいくぞ」


周りの女の子を置いてきぼりにして、来た道を引き返すように岡崎先生は歩き始めた。


腕はまだしっかりと岡崎先生が掴んだまま…。


いく人いく人が私を不思議そうに見つめている。


そりゃ、そうだよね…。

生徒会長が教師に腕を引っ張られて歩いているんだもん…。


私でも、今の状況を呑み込めていない。


職員室へたどり着くと、私を担任の元へ連れていった。



「池田先生、俺も一緒に良いですか?こいつ、逃げそうなんで」


なんて嘘なんか付いちゃって、一緒に同席させろなんて良い始めた…。

まぁ…逃げるって言うのは間違ってはいないけど…


昨日の今日で、何も変わらない対応でいる方がおかしいぐらいだ。


担任はお前でも反抗することはあるんだな…なんて驚きながら同席することを許可した。


ひどいな…。何があったかなんて知らないくせに。