奈苗は首をひねりながら、代わりに4番席に行ってくれた。

 感謝じゃ奈苗!

 緊張した表情でカップルの様子を注視する私。
 見知らぬ男女なら微笑ましい気分になっちゃうけど、女性が宮末蒼だとそんな気分になれない。

 視線の先には、宮末蒼の姿(奈苗は彼女の事は知らないし、此処で初顔合わせなのだ)があるのだから。
 ケンカ別れした後の、思いがけない場所での再会に私はハラハラしちゃう。
 蒼を敵に回してしまっているから尚更である。

 蒼ったら、楽しそうだ事。

 一緒に来た見知らぬ若い男は、蒼の新しい彼氏に違いない。
 馴れ馴れしく蒼の顔を手で触り、親しそうに話しをしていた。
 蒼は蒼で、ニコニコとした表情で相手とお喋りに夢中だ。

 そしてメニューを見ながら、奈苗に注文をしている。

 随分と早く別カレをゲットしたものだ。
 なーんだか、先越された気分!