「先輩、お客さんですよ。行かないんですかぁ?」

 お冷とオシボリを持ってオーダー取りに行かなくちゃならないけど、尻込みしてしまうのだ。

「悪いけど、アンタが行ってくれなーい?」

「ハァ? 私ぃ?」

「ちょーっと、あのお客さんは…」

 2人の方に見やった奈苗。

「お知り合い?」

 そうだよ。

 すっげームカつく友人なんだよ。

 …こうは言いづらく、慌ててテキトーに誤魔化す。

「んまぁ! 色々と有ってねー! 顔を合わせるとマズいんだよねー! だから奈苗、お願い!」と言って奈苗に手を合わせてお願いポーズを取った私。

「私がですかァ? ハァ、分かりましたぁー」