手にはフォールディングナイフが握られている。
 気が付いた時には、森山さんの右腕から血が出ていた。
 激痛が走る。

「て、テメェ! 卑怯だぞ!」

「俺の辞書に、卑怯って言う文字はねーんだよ!」

 鬼のような形相で森山さんを睨み付けるアキト。

「アキト! やり過ぎですわ!」

 アキトが刃物を持っていたとは…

 蒼にとっては想定外だった。

「蒼は黙っていろッ! コイツ、ぶっ殺す!」

 かなり興奮しているアキトは拓也に襲いかかった!

 すると、誰かが横から走って来て、森山さんが前に立ちはだかった。
 フォールディングナイフを持っている右腕をガッチリと掴む。

「誰だテメェは?」

 いきなり目の前に現れた人物にアキトは目を細める。