私は大きくため息。
 後ろから顔を見せた美香に声をかける。

「話しを聞いたでしょう? 森山さんも美香に好意を持っているけど、蒼に対する気持ちの方が強いって事」

「仕方がないよね。蒼は私が拓也と出会う前から、恋人だったんだから」

 美香はそう言いながら近くの椅子に腰掛けた。

「アイツの事忘れるの?」

「拓也の気持ちが変わらないのなら…」

「私としては、美香の方がイイと思うんだけどなァ…」

 ニヤリと微笑む美香。

「決めるのは拓也自身だよ。雅美が強く言い聞かせても、彼の気持ちが変わらないんじゃあ…どうしようもないし」

「だからって美香は、それでイイって、思っているワケ?」

「思ってはいないけど」

 ここで私はズバッと言った。