私は真剣な眼差しでこう言った。

「出来ないなんて言わせない」

「言わせてもらう、出来ねえ」

 森山さんも真剣である。

「どうして?」

「俺は、蒼を愛しているから」

「他の男に取られているのに?」

「同棲も妊娠も、まだ…本当がどうか分かんねえだろう?」

「呆れた! 信用していないんだ?」

「俺は、どんな事があっても蒼を信じる。アイツは絶対、俺を裏切らねーから」

 私は思った。

(この男、かなりの自信家だね? 悪く言えば鈍感?)

 蒼への森山さんの強い恋心はハンパじゃないようだ。

 森山さんのスマホの着メロが鳴った。

「もしもし」

「…」