私は口を尖らせながらも、津崎がぐいぐいと歩くから引っ張られるように私も後を追う。

この無人島にあるのは小さな神社だけ。実は神様が住んでいる島だと言われていて、干潮の時にしか参拝することができないため、聖なる場所としても有名だったりする。


そんな神秘的な島を津崎はお構い無しに進んでいく。道などはほとんどなく人の手が加えられていないため、足元はかなり不安定。


「どこ行くのっ?」

迷って出られなくなるということは小さい島だからないだろうけど、こうして道なき道を歩いていると方向感覚を失いそうになる。

私はさらに津崎の手を強く握り、やっと足を止めたと思ったら目の前は行き止まり。


「まさか迷ったの?」

あんなに思い切りよく進んでいたのに?

立ち尽くす津崎の背中を見ながら、私は「ぷっ」と吹き出してしまった。


「あはは、ヤバい。ちょっとつぼった」

笑っている私を津崎は不満そうにじっと見る。そして……。


「……痛っ!」

私のおでこに津崎のデコピンが飛んできた。本気じゃないとしても、けっこうな勢いで。


「なにすんの、バカ」

おでこを押さえながら、キリッと睨む。


「バカはお前だ。行くぞ」

「え、行くって行き止まりじゃ……」


私の言葉を待たずに津崎は目の前の石の山を登っていく。積み重なるように壁になっている形の違う石。その隙間にうまく足をかけて、津崎はまるでロッククライミングのように軽快に上まで行ってしまった。