新くんの顔が間近にあって直視できない。
「ほんと勝手な女」
そう言って少し荒々しい感じのキスをされて。
「んっ…」
「俺がどんなに我慢してるかわかってんの?」
「新く…」
すぐにまたキスされるので返事もできない。
そして次第に新くんの唇が私の首筋へと下りていく。
「えっ…ちょっ…」
「少し黙って」
新くんの手で口を塞がれ、息はできるけど喋れない。
私の首に2.3回痛みが走った。
「んんっ…」
何今の…!
ようやく新くんの唇が私から離れ、ニヤリと微笑んでいる。
「なにしたの!?」
「他のヤツにフリーだって思わせたくねーから」
「えっもしかして…」
「お守りみたいなもん」
鞄から鏡を取り出して、首を見てみた。
首に赤いキスマークが3つも付いてる!
「新くん、これ!」
「いーだろ、似合ってるよ?」
そう笑いながら「バイバイ」と、手のひらを見せてきた。
平気な顔して改札口を通って行く新くん。
私の心臓はどきどきと鳴り止まなくて。
信じられない…こんな目立つところに!
肝心なことは何も聞けなかったけど…新くんのキスから気持ちは伝わってきた。
私も…今度はちゃんと新くんと向き合おう。
怖がってちゃだめだ。
私は火照った体を冷ましてから、改札口を通った。