「今日は私の気持ちを知ってほしかったんだ…。困らせてごめんね」

「…いや。俺、付き合ってる時お前に何もしてやれなかったのに。なんでそこまで俺のこと思えるんだよ」

「ううん。あの時は私も悪かったんだ。言いたいことも言えずにいたから。寂しいってちゃんと口に出してれば、今違かったのかなって、ずっと後悔してる。だからもう、同じ間違いはしたくない」

握った手に汗が滲む。

みなみの思いが強くて、新くんの気持ちが揺らいじゃうんじゃないかって怖かった。

「明後日、白龍の集会があるって陽太に聞いてたんだけど…。私も行くからね」

「みなみ…俺は」

「言わないで。もう少し考えてみてほしいの。返事は急がないから…お願い」

新くんがそれに対して何も言わなくて。

それがショックだった。

すぐ返事をしてくれなかったのはどうしてなんだろう。

「じゃあ…先に帰るね」と、みなみが鞄を持ったので、私は慌てて隣の教室に入り身を隠した。


心臓がずっとバクバクしていて治まりそうもない。

2人には誰にも言えない事があるんだ…。

私はみなみに見つからないように、生徒玄関で新くんを待つことにした。