『んーーーーーっ!』
時計を見ると教室を出て一時間が経とうとしている。
そう、迷子だ。
『この学校広すぎ…』
ここに来る前は福岡の田舎の中学校にいたため、広い校舎を1人で歩き回るのは難易度が高かった。
『あ、水飲み場がある。』
小一時間歩き続けていたせいで喉が乾いた。
近くに見つけた水飲み場に近づく。
「おっと!」
『わっ!』
水飲み場の後ろにあった曲がり角から誰かが出てくる。
(あ、この人も水飲みに来たのかな)
1歩下がりジェスチャーで「どうぞ」のポーズをとると相手は「すまない」と言いながら水を飲んだ。
(青の帽子にこのユニホーム…野球部かな?)
水を飲み終えたその人に恐る恐る話しかける。
『あの…野球部の方ですか?』