ばしんっ!


「えっ……」


何が起こったかわからない……
ただ、右頰が痛くて痛くて……


状況を把握するのにだいぶかかったけど、私……辻くんに平手打ちされた。


「痛い……」


なんで泣いているんだろう。
平手打ちされたから?
違う。


「俺のが痛いよ……」

微かに震えた辻くんの声。

「死ぬな、早瀬…死なないで。」

温かい腕に包まれ、弱気な声で私に言い聞かせるかのように話かける。