あの後すぐに、遼パパ遼ママはロスに帰っちゃって、あたしは遼が一人暮らししてるこのアパートに住むことになっちゃいました。

遼「…飯食うか。カップ麺でいい?いつものあるし。」

葵「あ、うん。」

遼「ほら、3分な。」

小さいうどんのカップ麺。小さい時から大好き。

ゆっくりゆっくり食べて、時間は10時。

葵「…ごちそーさまでした。」

急いでお風呂に入って、歯磨きをする。入れ違いで遼も風呂に入った。

この家には、あたしのものが沢山ある。例えば、箸。コップ。お茶碗。本。歯ブラシ。枕。他にもたくさん。半分以上のものがあたしのものだと言っていいくらい。
…うそ、4分の3くらい。

遼が中2から一人暮らしなのをいいことに、お母さんが居ない日は大体ここにいた。
言わば第二の家。

遼「明日葬式だし寝るか。」

葵「…うん。」

遼「おいで。」

いつもみたいに、遼の胸に飛び込んで遼の匂いいっぱいで、安心してそのまま意識を手放した。

目が覚めると、遼は隣にいない。
リビングかな?と思って探すけど、家のどこを探しても遼は居ない。

…また、置いて行かれた?

ナ ン デ ?

出したくなくても出る涙と声。

葵「っやだ!!置いてかないで!!遼!!遼〜…!!っ、お母さん!やだよぉ〜…っ!!りょーー!!!っうっ、あーーーー!」

わんわん泣いていると、焦ったように帰ってきて、あたしをギュッってしてくれる遼。

遼「ごめんっ、、置いてかないから。約束したろ?離さないって。」

必死に離さないように、隙間なく遼に抱きつく。

葵「うぅ〜…」

遼「ごめん、ほんとごめん。」

葵「葵、遼にまで置いていかれたら、、どうすればいいの…?」

遼「葵!!!!」

葵「っ…」

遼「俺はお前を絶対捨てない。一生お前から離れない。」

葵「…でも」

…遼に好きな人ができてしまったら、離れないといけない。それなら、一緒にいない方が…

遼「……俺は、結婚したい人の近くに居れてるからいいけど。」

葵「っなら!!…なら、あたしと居たらダメじゃん。ここに、住まない方がいいじゃん…」

遼「俺の好きな人お前だから何の問題もない。」

葵「…は?」

ビックリして涙止まった。

遼「は?」

葵「え、何言ってんの…?」

遼「気づいてないだろうとは思ってたけどな。まぁ、そういう事だから。」

…うそ、、信じらんない。
この流れで言うべき…?だよね。よし。

葵「あ、その、、、」

遼「なんだよ。」

葵「あ、あたしも、だよ。」

遼「あぁ、知ってる。」

葵「えっ!?」

遼「まぁいいから、準備しろ。」

葵「ぇ?」

遼「ほら早くしろバカ。」

葵「…」

立ち上がった遼の背中に思いっきり抱きついた。

遼「うわっ、」

葵「遼、大好き、ありがとう。」

遼「は…」

さて着替えよう。制服だ。
久しぶりにネクタイつけちゃお。
…結び方わかんない。


遼「…なぁ葵、俺のネクタイ知らね?」

葵「知らなーい。葵のリボンすれば?(笑) 色一緒だし。」

遼「バカか。なんでリボンつけなきゃなんねぇんだよ。変だな。何でないんだ。」

葵「ねぇ遼。これ結んで!」

遼「あぁ?…ほらよ。あ?!これ俺のじゃん。お前足で踏みつけんな!」

葵「…あ。…えへっ。ごめんね…?」

遼「…はぁ。はいはい。」

葵「んふふっ、歯磨きしてくる!」