あたし、望月 葵(mochiduki aoi)。
私立の女子高校に通う1年。あ、一応勉強の特待で行ったから、学費免除!
家からは歩いて40分位かなぁ?

顔ブス性格ブス頭悪い運動できないって言われ続けて15年のダメダメ人間。

誰に言われ続けたかって?小中バスケで一緒だった矢野 遼(yano ryou)。高校では同じにならなかった。
…隣になったけど。
あたしが通ってる高校の隣にはものすごく頭の良い男子校がある。そこに遼は首席で合格しやがった。
遼はムカつくくらい顔かっこいいし、ムカつくくらいあたし以外に優しいし、ムカつくくらい頭いいし、ムカつくくらい運動出来るし、とにかくムカつくヤツ。褒めるとこしかない。
いや、あたしにはめちゃめちゃ意地悪。他の人には優しいのに…

遼はあたしの好きな人。小さい時から、ずっと変わらない好きな人。


お母さん「…あ、今日話あるから早く帰って来て。」

こんなこと言われるの、いつぶりだろう。初めてかもしれない。
ちょっと嬉しい。

葵「うん。行ってきます。」

それでもウチは、家庭環境がものすごく悪い、らしい。一般的に。
一時期は施設に入ったけど、それでもまぁ、いいと思ってる。なるようになれば幸せになるから、そんなことはどうでもいいこと。

…って、自分に言い聞かせてきた。


家を出て歩いていると、隣につけて走るチャリ。もー、鬱陶しい。

葵「おはよ。んでうざい。」

遼「はぁ?そんなこと言ってっと、勉強知らねぇぞ。」

……………

それを言われると、あたしは何も言えない。今まで赤点を取らずにそこそこの成績を納めてきたのは遼のおかげだから。入試も遼がいなかったら学費免除どころか、多分高校自体に通えてない。

遼「なぁ、今日バッシュ買うからついてこいよ。」

葵「むりでーす。」

そう言って遼の自転車のカゴの中にバックを投げ入れて走った。

遼「あ、こら待て!」

葵「もー、早く行こっ!」

あー、走るの気持ちいい!!

遼「…あー、おっそお前。乗れば?」

葵「待ってましたよその言葉」

遼「タイミング見計らってましたこの言葉。離すなよ。」

この坂を遼の自転車の後ろに乗って駆け下りるのは、今となってはもう日課。
坂を下ってそのままチャリの後ろに座って、遼にしがみついたまま寝てると学校についてる。これも日課。

遼「起きろ。葵。葵!」

葵「んっ…」

遼「寝ると重いんじゃボケ。」

葵「うっさい。」

遼「じゃーなブス。」

葵「ありがとカス。」

遼「あ゛?」

葵「ごめんなさい。」

‪‬そう言ってそれぞれの学校に入る。
…これも日課。
まぁ、このやり取りが楽しかったりするんだけどね〜(笑)

前までは、言われっぱなしだったけど今は言えるもん!…ね?

…さて、オンモードに切り替えじゃ。