私は智樹さんの上に股がって
手を首に回して見つめ合った。


今までで1番可愛い私でいたくて
いつもより時間をかけてメイクしたのに…。

もう泣き顔は見せたくなかった
泣き顔より笑顔の私を見ていて欲しいから。

でも気づいたら
既に私の頬にはたくさん涙が伝っていた。



「…ねぇ、抱いてください…。智樹さんを忘れないように 私の体に残してください…最後にするから…っ。」



貴方は私の左頬を撫でてそっとキスをして
優しく私を押し倒して覆いかぶさった。



「……智樹さんっ智樹さん…もっと…」



喘ぎながら貴方の名前を呼ぶ。

今日が本当に最後だと
自分に言い聞かせるように
何度も何度も…名前を…



「 っ楓…」



手を絡ませ合いながら
激しくお互いを求めあった。


智樹さんの体臭の混じった香水の香りも

力強い瞳に少し垂れた目尻の皺も

キスをする時に下唇に吸い付く癖も

セックスのとき私が名前を呼ぶと
手を繋いでくれて果てるときは
私がよがって動かないように頭を抑える
骨ばった大きいくて優しい手も


恋しくて愛おしくて…手放したくない。


これが最後
今日でもう、終わりなんだ…。


ごめんね、嫌いになれなくて。

好きだよ、智樹さん…好きだよ…。