(恵斗side)
なに。いきなりなんだよ舞のやつ。
いつもは寝坊しましたって顔して
髪だって寝ぐせ残してくるのに。
それでも十分可愛いのに俺はいつも
舞のことをからかってしまう。
にしても今日の舞は、なんか化粧してるし
制服も着崩してるし、髪だって巻いてる。
いつもよりも更に可愛さが増してる。
しまいには好きな奴できたか?と聞いてあのわかりやすい反応。
「‥クソ。イライラする。」
なんだよ。好きな奴って誰だよ‥
俺はずっと舞のことが好きだ。
でも舞を女だと意識してしまってから
昔のように接することが出来なくなった。
どんどん綺麗になっていく舞。
幼なじみ卒業して、彼女にしたい。
好きだって伝えたい。
でも伝えたら幼なじみにも戻れなくなるのではないか。
そう思うとなにも出来ず現在に至る。
「おい、恵斗。いつもより増して顔怖いぞ。」
親友の梶原悠貴は出席番号がいつも前後の
腐れ縁。しかも小学校からだ。
舞のことも知っていて、もちろん俺がずっと舞を好きなことを知っている。
「‥ああ。朝からイライラすんだよ‥」
「あー舞ちゃんね。ほんと舞ちゃん絡むとわかりやすいな恵斗は。」
なにやら俺は舞のことになるとぜんぶ
顔や行動に出るらしい。