「…で、その少女漫画のヒロインの奴は、どんな奴が好きなんだ?」

出し抜けに主がそう言う。


切なさとおかしさが拮抗した。


いっそ、彼女と出会わない方がマシだったんじゃないかと、そんな思いに囚われて。


でも、この普通の高校生みたいな主の様子が嬉しくて。


迷ったあげく、自分は答えた。


「色々ですよ。俺様系とか、ツンデレ系とか」

結局、上げたのは主のことで。


「………僕とは掛け離れているな」


そんなこと自覚もしていない自分の主に、自分の思いがバレなかったことにホッとして、なんの慰めにもならない自分に嫌気がさした。


「なんか言ったらどうだ?」


黙り込んだ自分に、主はイライラとした口調でそう言う。


意をけっして自分はそんな主に問う。


「では、ご自分はどんな性格だと思ってらっしゃるのですか?」


「なんだよ、それ」

「違うというなら、それなりの根拠がおありなのでは?」


「うるさいな。僕は威張ったりしないし、自分に素直だ」


「そうですかね?」


「なんだよ」




文句あるなら言ってみろと、主の目がそう言っていた。