「小学校の時にね、片想いしてる男の子に『お前の好きな奴って〇〇だろ!?』って、全然違う人の名前言われたりして……」


「そんなガキの頃から相当だな」


「でしょ?」


「じゃなくて、分かってんなら直せよ。この際、どうしようもない不幸好きも一緒に」


「あたしって不幸好きかなぁ?」


「自覚ねぇのかよ!?」


自覚ある方がタチわりぃ気もするけど、俺に言わせりゃどっちもどっちだ。


「あたし……やっぱ帰る」


「はぁ!?」


突然言い出した未幸に面食らう。


未幸はすっくと立ち上がると玄関へ向かい、俺は呆気に取られながらも、その背中を追った。


靴を履いた未幸は、俺に背中を向けたまま立ち尽くしている。