リビングのソファーに座りながら、タバコの火を点けた俺に、相向かいにいた未幸が訊く。


「絢哉、何かあった?」


「別に。なんも」


今までならそんな俺に、「絶対何かあったでしょ!?」とか、「嘘だぁ」とか、突っ込んで来るのが会話のパターンだったのに……。


「そっか……」


力ない相槌を打って、未幸は薄い笑みを浮かべた。


何だこれ!? ってか、調子狂うだろっ。


「そういうお前の方こそ、何かあったんじゃねぇの?」


「あたしね……。本当に好きな人には、昔っから素直になれないんだ……」


訊かなきゃいいのに、訊いたりするから、ほらまた未幸が訳の分からない事を言い出す。