中学の時、俺はちょとした病気にかかり、手術を受けた事があった。入院期間は、約一ヶ月。そんな俺の見舞いに、毎日通ってくれたのがカズだ。


学校があってもなくても。どんなに雨が降っても。どんなに風が強くても。病室にやって来ては、どうでもいい様なくだらない話をして帰って行く。そんなカズを見て、おふろが俺に教えてくれた事がある。


『人柄が一番見える時ってね、自分が病気になった時なのよ』


俺は身をもって体験し、それを理解した様な気がした。仲のいい友達と親友は違う。そんな線引きをはっきりと自覚したのは、忘れもしないこの時からだ。


カズに「お前は俺の親友だ！」なんて、言葉で伝えた事は一度もないけど、俺なりに行動で示している事ならひとつある。


カズが親友じゃなかったら、俺はナリに告っていたかもしれない……。