「お、ちゃんと覚えてる。偉い偉い」


「馬鹿にしてんの?」


「してないって。まぁ、聞いてよ。モザンビークドリルって言うのは…」


語り出すと止まらないのが伊藤なので、ここは黙ってふんふんと頷いておく。


「胸に二発、頭に一発、銃弾を撃ち込む事。確実に相手の息の根を止めるやり方なんだ」


「ふーん」


「まず心臓を二発撃つ。更に頭を一発撃ち抜いてとどめを刺す。頭ってのは常に動いてて狙いにくいから、先に心臓を撃って相手の動きを止めるんだ」


「なるほどねぇ」


「Two to the chest, One to the head」


いきなり呪文みたいな英語をスラスラ言ったので、私は思わずのけぞってしまった。伊藤って英語、得意だったっけ?